CROSS TALK
【鼎談】
土田祐士×星野元希×岡住修兵
稲とアガベは群馬県の土田酒造に委託し「SAKE series」(国内向け)を醸造しています。
稲アガ愛の深い土田祐士さん(土田酒造社長)、星野元希さん(同社杜氏)のおふたりと岡住が、
一献傾けつつ思い出を語らいました。
稲アガ愛の深い土田祐士さん(土田酒造社長)、星野元希さん(同社杜氏)のおふたりと岡住が、
一献傾けつつ思い出を語らいました。
出会い
土田
そもそも、星野くんが岡住さんと知り合ったのはどういう経緯だっけ?
星野
僕が新政酒造へ研修に行ったとき、岡住さんが働かれていて(orいらして)。そこで出会いました。驚いたのは、初対面でいきなり「(土田酒造の)酒はうまいんだけどさ〜、ラベルめちゃくちゃダサいからなんとかした方がいい」と指摘されて。やや面食らいました(笑)。

そうだっけ?すみません…(笑)
星野
いやいいんです(笑)。正直にものを言う方だなあというのが第一印象でした。
土田
そう聞いてたから若干身構えてたんだけど、実際会ってみると非常に誠実でまろやかな方だなと思いました。
稲とアガベ×土田酒造
土田
2019年くらいに岡住さんからお酒造りを依頼されました。秋田のササニシキで、稲とアガベさんの代わりに醸造させていただくという。ただ、着手してすぐにコロナが流行り出したんですよね。

そうなんです。だから麹だけは一緒に作って、そこからは遠隔でモロミの温度を調整しながら作りましたね。そのやり方で問題なかったと思う。麹作りについては考え方をお伝えしていたので。
星野
そう、岡住さんから麹のことを一から教えていただいた。それで、実は途中から作り方を全部変えたんです。製造の中盤にひっくり返すのはかなり怖かった。でも「お酒の味は変わるかもしれないけど、きっとよくなるはずだ」と思ってすぐ実行に移しました。
土田
あれはなかなかの決心だったね。でも結果的にすごくよかった。
星野
現場としては、岡住さんが遠くにいて製造過程を直接見られないのはすごく不安でした。「なんとか岡住さんの思いをこの酒にのせなければ…!」という緊張感がありましたね。

僕は土田酒造のチームをすごく信頼しているので、どんなお酒でも美味しくしてくれると思っていました。だから届くのが楽しみで。自分が思うような味になっていてもいなくても、いずれにせよ楽しみにしていました。
新政・古関さんのDNA
土田
「どんなお酒でも美味しくする」ということでいえば、ふたりとも新政酒造で学んだこと、特に新政の杜氏をやられていた古関弘さんの影響が強いよね。

師匠の古関さんが「どんな手を使っても美味しくする」というスタンスの人だったので、まずいとわかった瞬間、あらゆる手を打つんです。味の構成要素、甘味と酸味のバランスをうまくとっていく。もし腐りかけたら、元気なモロミをさしたりして。とにかく、諦めない。絶対「まずい」というところで終わらせない。そういう精神を新政で叩き込まれました。
星野
「とりあえず美味くなきゃダメ」ということを古関さんに教わりました。
誤って乳酸菌で酒を汚染してしまったとき、古関さんに電話で相談したんです。「どうしたらいいですかね?税務署に電話して捨てようと思う」と言ったら「せっかくだからお前がうまくしろ。なんとしてもうまく仕上げろ」と言われた。このときから考え方が変わって。失敗したら捨てるのではなく、全力で美味しくする方向にすぐさまシフトしようと。
誤って乳酸菌で酒を汚染してしまったとき、古関さんに電話で相談したんです。「どうしたらいいですかね?税務署に電話して捨てようと思う」と言ったら「せっかくだからお前がうまくしろ。なんとしてもうまく仕上げろ」と言われた。このときから考え方が変わって。失敗したら捨てるのではなく、全力で美味しくする方向にすぐさまシフトしようと。
土田
こんなことまでするのか、というところまでしてたよね。星野くんは当時、かなり落ち込んでいたけど、これは後で笑えるための通過儀礼、プレゼントかもしれないと思った。

あのときのお酒は美味しかったので、秋田でいっぱい売ってたんです(笑)。
土田酒造の魅力
土田
今日のトークテーマに「土田、星野の良いところは?」というのも忍ばせてあるんだよね(笑)。
星野
お、それはぜひ聞きたいですね(笑)。

土田さんは元々杜氏をやっていたのに、星野さんに杜氏を譲ったところが経営者として素晴らしいなと。日本の酒業界では、社長が杜氏をやってしまうのが普通。ただそうすると下が育たないという問題がある。土田さんは、これからもっと楽しくなっていくタイミングで星野さんにすっと譲ったのがかっこいいなと思ってます。
土田
褒められてちょっとくすぐったいです。星野くんについてはどう?

星野さんはね、その年の酒造りが終わった瞬間から「来年のを作りたい〜」というほど酒造りが好きですよね。かなわないなと思う。それから例えば、日本中のあらゆる杜氏や蔵元にどんどん話を聞きに行ったりされてますよね。僕みたいな年下からも吸収しようとする姿勢があって。それだけの情熱を持って作り続けられる醸造家を星野さん以外知りません。
星野
嬉しい。なんか泣きそうです。
稲とアガベが挑戦したいこと
土田
さて、そろそろ夜も更けてきたのでこの辺でお開きにしましょうか。最後に岡住さんが今どんな未来を描いてるのか、聞かせてほしいです。

そうですね、まずは男鹿を盛り上げること。それと、作るお酒の幅を広げていきたいです。以前はお米から作るお酒に固執していましたけど、今後は色んな副原料も使っていくことで「クラフト酒」という文化を若い連中と盛り上げていきたいです。もちろんメインとしてはお米だけを使ったお酒を考えてますが、他の穀物を使うのは面白いなと思ってますね。例えば麦麹をつかって、建前は米とかね。芋やコーンも醸せるし。そういうところにチャレンジしたいです。
土田
すごく楽しみです。どんどん新境地を開いていってほしい。

ありがとうございます。これからも土田酒造とコラボしていけたらと思ってます。
星野
いつでも声かけてください!僕は“「土田酒造の杜氏」兼「稲とアガベの蔵人」”ですから(笑)。
お酒に込めた想い・取り組み
文化・経済・環境まで、すべてを豊かにするお酒を。
美味しいお酒は、人を幸せにするもの。
稲とアガベはその幸せを、お酒を飲む人だけではなく、お酒に関わるすべての人に広げる酒造りをしています。
日本酒の入口になれるようなお酒を造ること。農家さんが豊かになれる値段でお米を買い取ること。環境に優しい原料を使うこと。
文化・経済・環境の視点から考え、酒造りに落とし込むことで、一本のお酒が生み出す幸せの輪を最大限に広げていきます。
稲とアガベはその幸せを、お酒を飲む人だけではなく、お酒に関わるすべての人に広げる酒造りをしています。
日本酒の入口になれるようなお酒を造ること。農家さんが豊かになれる値段でお米を買い取ること。環境に優しい原料を使うこと。
文化・経済・環境の視点から考え、酒造りに落とし込むことで、一本のお酒が生み出す幸せの輪を最大限に広げていきます。
文化
クラフトサケを
日本酒文化の発展に繋げる
日本酒文化の発展に繋げる
経済
農家さんや販売店さんと
共に歩む
共に歩む
環境
男鹿の山や海のために、
食材のロスをなくす
食材のロスをなくす
クラフトサケが生まれたのは、日本の長い歴史の中で先人が築き上げてきた日本酒の文化と技術があってこそ。米と米麹を用いる伝統的な醸造技術が、フルーツやハーブなどの多彩な素材を取り入れた酒造りを可能にしています。
日本酒が苦手な人が美味しいと思えて、日本酒好きが思わずうなるお酒を造る。市場を広げ活性化させることで、この国のお酒文化のさらなる発展を目指します。
日本酒が苦手な人が美味しいと思えて、日本酒好きが思わずうなるお酒を造る。市場を広げ活性化させることで、この国のお酒文化のさらなる発展を目指します。
稲とアガベは、顔の見える農家さんとだけお付き合いし、密なコミュニケーションをとりながら米作り・酒造りに励んでいます。そして、素晴らしいお米を育ててくれる農家さんに、適正な価格を支払うことを大切にしています。
日本では、居酒屋さんや酒屋さんがお酒を販売する時の取り分は慣習的に決まっていますが、稲とアガベではお世話になっているお店の利益を考えた卸値に設定。お取り扱いしてくれるお店のみんなが豊かになれる方法を選んでいます。
日本では、居酒屋さんや酒屋さんがお酒を販売する時の取り分は慣習的に決まっていますが、稲とアガベではお世話になっているお店の利益を考えた卸値に設定。お取り扱いしてくれるお店のみんなが豊かになれる方法を選んでいます。
自然の豊かな男鹿に拠点を構える稲とアガベにとって、環境は何よりも大切にしなければならないもの。そのため稲とアガベの商品は、環境への負荷を抑え、環境についてみんなに考えてもらえるような工夫をしています。
原料のお米を磨きすぎない。副産物の酒粕で「発酵マヨ」などの新しい食品を作る。未利用資源からお酒を造る。環境を少しずつ良くするものづくりによって、持続可能な社会を目指します。
原料のお米を磨きすぎない。副産物の酒粕で「発酵マヨ」などの新しい食品を作る。未利用資源からお酒を造る。環境を少しずつ良くするものづくりによって、持続可能な社会を目指します。
SAKE series
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